幸せな時というのは苦労も多いよ

安達哲の「さくらの唄」(上)で主人公が好きな女の子とデートをした後を描いたシーンでこんなセリフがある。

「別れぎわにもっといい顔すればよかったなあ、つい目をそらしてしまったからな、メシのときライスを口からこぼしたところ見られただろうか、屁ガマンしすぎてハラも痛くなったしな、”幸せな時というのは苦労も多いよ”、またデートできたらなあちくしょう・・・」

実際私も好きな人と会ったあとこのような後悔をよくする。自分が幸せになるために感じてる苦労は、幸せだから気づいてないだけでめちゃくちゃ多いと思う。

夜の公園でいつのまにか酒を飲んでいて、久しぶりの酒で(いろいろな理由で禁酒していた)嬉しくて楽しくなっていつのまにか意識や記憶を失いかけて目が覚めたら人の家で、あーこりゃ昨日どエロいセックスでもしたんだろうなあ(記憶はあったが理性はなかった)酒の力で多少の恥がなくなりウザキャラにでもなってて普通の時には絶対しない言動や行動でもしてたんだろうなその発言とやらで弱み握られるんやろうなクッソ〜(なんのクッソ〜やねん)となりまして、服を着て外に出ると、どエラく良い天気で、私は昨日ダメなこと(?)をした人間なのに外の世界はこんなに私のことを照らしてくれている…とかわけのわからないポエマーに一瞬なって死にたくなって、こんな時に思い浮かぶのはモーモールルギャバンの「POP!烏龍ハイ」で、

「烏龍ハイ 烏龍ハイ 大和撫子 ハートに火をつけ踊るよ踊れ 烏龍ハイ 烏龍ハイ 水色の恋 酔わせてこのまま陽が昇るまで」

なんてサビの歌詞を頭の中で昨日のことと交互に思い出し自宅への帰路を歩き進めていくと、気温が高く暑さがジワジワと体に染み込んで、カラッカラに乾きすぎて靴が鳴る地面、風は少なく、けどたまに吹く日陰での風がちょっと涼しくて、まくりあげていた袖をおろして、もういつのまにか小学生が学校が終わって帰るような時間で、横断歩道で信号が赤の時、たぶんおしっこがしたいのか座り込んで股間を抑えながら信号を待つ男児や、すれ違った女児数人が「鼻くそを食べたことがあるか」という話題で持ちきりになり、今時は女の子もそんな話するのか下品だな、と思いつつ、目を細めながら手をかざし空を見上げたらまだ鯉のぼりが飾ってある家があり、だらんと垂れ下がった鯉のぼりを見てなんだかセンチメンタルになり、その家の真下ではおばあちゃんたちが日陰のコンクリート地面に座り込んで井戸端会議を進め、その先の既に潰れている小さな商店の看板が「レトロでいいなあ」なんて視線をやりつつ、車もないから必死に徒歩で帰宅している私の横をヤンキーが二人乗りをしている二輪車が颯爽と駆け抜けて、それと同時に歩道で反対方向から歩いてくるおばあちゃん二人組が私とちょうどすれ違うぐらいのタイミングで立ち止まり、「もう蕾が出とるですね〜」なんて話をして、信号のない横断歩道で渡ろうとしたらさっきまで全然通ってなかった車がたまたま3台ぐらい猛スピードで止まろうともせずに駆け抜けて、下り坂、住宅街、換気扇から醤油と料理酒の匂いがして、歩き続けて私の元々ない体力はさらに減り、喉が渇いていたことを忘れていて近所のスーパーに涼みがてら入って、甘くはないけどちょっと味がついてる炭酸水と母親にあげようと缶コーヒーでも買って、レジ中に次のお客さんがものすごい近距離にきてポイントカードを店員に出して、スーパーを出るとやっぱり暑くて買った炭酸水をプシッと開けてゴクゴクと飲んでプハッとなって、炭酸水が似合う女の子になりたかったなあ、ポニーテールしてて横髪をピンで止めちゃってる感じで元陸上部でカルピスの宣伝に出てるような、いやカルピスやん炭酸水ちゃうやん、なんて思ってたら家に着いて、長袖の上に長袖を着ていた私はキャミソールとパンツだけになって、洗面所でふと鏡を見たら、自分の顔は常にブスなのにいつもの1.5倍可愛かったので、”女になる”って恐ろしいなと思って、一昨日提出したレポートが返ってきていたらしく部屋の中にあって、それを寒々しい格好で読んで、自室の窓もドアも開けっ放しでモーモールルギャバンのMDを引っ張り出し「野口、久津川で爆死」というアルバムを聴き始め、10曲を軽く5周はして、そろそろ服を着ようと思って衣替えしたばかりのタンスを開け、2ヶ月前にやめた一人暮らし、その時以来着ていないほぼ一緒に住んでいたような人からもらったパックマンのデザインの半袖Tシャツに袖を通し、あのアパートの匂いがして、いろいろ思い出して、3markets[ ]を聴き始め、「缶ビールとポテトチップス」の

「人間なんて本当にいるだけでちょっとあったかいな こんなさみしいなんてさ 僕だけがさみしいなんてさ ちょっとだけ腹が立ったから だから君に会いに行く 君の部屋を汚しに行く」

という歌詞に軽く落ち込んで、それが収録されている「バースデイ」というシングルのジャケットみたく体を横にして、ずっと君の誕生日でいいのに、って思った。


まとめ

人間は、欲のために使う脳はいつも冴えているものだ。しかしその欲が本物かどうかはその時の脳の冴え具合による。

おわりだ。

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POP!烏龍ハイ!~サイケな恋人 モーモールルギャバン - YouTube


追記:質問です。ローターの電池を変えるたびに、何してんだろう自分。ってなりません?